カミキユキ(@KamikiYuki)です。
待ってました、神木くんが主演ならばはずれないだろ!
と、思っていた時期がぼくにもありました。
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プロ棋士の桐山零(神木隆之介)が、川本あかり(倉科カナ)、ひなた(清原果耶)、モモ(新津ちせ)の川本家3姉妹と食卓を囲むようになって1年。彼女らとの交流に安らぎを感じる一方で獅子王戦に臨もうとするが、幸田柾近(豊川悦司)は頭をけがして入院、その娘・香子(有村架純)は妻のいる後藤正宗(伊藤英明)との関係に悩み、二海堂晴信(染谷将太)は自身の病気に苦しむなど、それぞれ試練に直面していた。さらに、川本家には3姉妹を捨てた父親が現れたことで不穏な空気が漂い始める。
- シネマトゥデイ -
羽海野チカ原作の将棋マンガを実写映画化。
TVアニメは新人王戦を終えて二期告知でひとまず一区切り。
前編も先月公開されました。
そちらのレビューはこちらへどうぞ。
少しまとめますと、
前編は原作で言う1〜5巻の新人戦、山崎順慶との対局。
そして島田開八段と後藤正宗九段の獅子王戦までの話でした。
微妙に話の順番違うけどとにかくエピソードを詰め放題。
原作から好きな人にとってはあのシーンが!とか喜ぶ人と、
あまり掘り下げていない登場人物たちが不満で二極化していたと思います。
前編はなんだかんだ言ったけど
島田八段のモノローグっていうか桐山くんに問いかける心の声は要らなかったよ!というのだけはっきり言って置きたい。
今回初登場のメインキャストだけ紹介しておきます。
川本3姉妹の父親、甘麻井戸誠二郎を演じる伊勢谷友介。
原作では妻子捨夫と呼ばれることの多かった人物で、仕事を辞めて川本家の家業も性に合わず外で別の女性と子どもをもうけた結果家を出たダメ親父で口だけは達者な人物。
それを演じる伊勢谷友介はというと、俳優業以外にも映画監督、芸術家、実業家と多くの顔を持っているみたいですね。昨今の映画出演作は大友監督のるろうに剣心2部作で四乃森蒼紫、新宿スワンで真虎、劇場版MOZUで高柳降市。待機作に忍びの国、ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けないに出演。
多分あとは主だった人はいませんよね?
では感想にいきますよ、と。
軽くネタバレも含みますので注意してください。
原作準拠ながら完結に持って来た改変作
まぁ後編になれば改変することは予想済みなわけで。
なので前編ほどエピソードを詰め込んではいません。
その分、より周りの登場人物たちの出番が減って誰だっけ状態と、
数少ないギャグ要因になってしまっている残念さ。
スミス先輩たちはホントにただのギャグ要員だった。
エピソードはひなたのイジメ問題と妻子捨男、
そして桐山零VS後藤正宗の構図に持ってくる。
最終的に幸田家の問題は解決できたし、原作でもあまり触れられていない歩の出番もあって少し救われた感じがあって良かった。
しかし桐山零の立場はというとなぜ結局大人を頼らない人間にして
最後に暴走を気付かせたのか、あれはリスキーなシリアス路線だった。
林田先生の出番がほとんどなかったので仕方ないのだ。
まぁ最終的に桐山零があの人と対峙する状態に持って来れたことは
ちゃんと完結編なんだと思わせてくれる作品になっていたと思います。
強いていうなら笑えたのは三角さんたちへのおごりをはっきり
「ムダなものに使いたくない」と言った桐山くん。
唯一劇場で笑い声が聞こえたシーン。
あと前編のおさらいだからって回想多くないですか、と思った。
それでも光るのがキャスト陣
やっぱり桐山零演じる神木隆之介の演技は日本映画では十分な力を持っている。
宗谷名人との対局を前に幸田父との電話のやりとりは印象的で、名人との対局の恐怖とそこから立ち直る零の調子は良かったですね。後半の対局にのめり込んで壊れちゃったんじゃないかと心配させるところもすごく役に入ってた。
あとは後藤正宗演じる伊藤秀明、今回は色んなシーンが見れたので良かった。おそらく原作から一番改変を受けている人物で、原作以上に奥さんとの描写が多いし、大きな転換を受けた人物だったろう。宗谷名人と指しているシーンはモノローグと違ってうるさくなかったし、あのシーンの張り詰めた空気も刺さる。
宗谷冬司演じる加瀬亮は終始無機質な感じだったなぁ...彼は孤独な存在なのであれくらいが良いのかもしれません。
そして後編で初登場妻子捨男こと甘麻井戸誠二郎を演じた伊勢谷友介のクズ人間っぷりはオーラさえ感じた。父親の苗字出たの初めてではなかろうか。もしかしたらファンブックには載っていたのかもしれない。
ひなちゃんのイジメは映像にすると強烈だ
大きなエピソードとして扱われたひなちゃんがイジメに遭うエピソード。
これは桐山くんがいないところで解決する話だけど彼なしには語れない話。
彼がいることでひなちゃんは戦い続けることが出来たし、
彼女がそう口にしたことで桐山くんは救われる大事なエピソード。
そして、イジメ問題が学校全体の問題を浮き彫りにしていく様は痛快だった原作。
イジメのシーンは強烈でスクリーンのこちら側でも憤りを覚えるほど。イジメの主犯格も、見て見ぬフリする生徒も、事なかれ主義の教師もどこに矛先を向けようかと思うほど各々良い演技だった。
学年主任教師の発言は作品を越えて是非を問うものになっていたのであまり語られなかったが、ちゃんと桐山くんとひなちゃんの関係を形成するファクターになった。好きなシーンだったのでさすがに目頭が熱くなった。
桐山零でさえダメなとこはあるんだよ
3月のライオンって登場人物ってまともなことやカッコいいこと言ってくれちゃう割にはダメなとこや酷い人だなぁと思う一面があるんですよね。後藤さんとか最初の印象が悪い分島田さんなど強い棋士とかには敬意を払う感じとか。
桐山くんに関しては元々ダメなところを自覚していたり、ダメダメになる前に周りの人がフォローしていたり、結局カッコよく決めちゃってそういう印象が少ないんだけど、映画では妻子捨男のエピソードで暴走しまくりで川本家に否定されちゃうんですね。
これはつらい。
予告で誘拐っていうくらいだからそのくらいの改変があると思いきや、桐山くんをいじめる方向でしたね。まぁ普通は他人の家にここまで言っちゃうのもおかしいことなんだろうなぁ...本当なら林田先生や将科部のメンツで下調べした上で臨んで欲しかった展開。
だけど、のちの対局の中でそれに気付いていって完結を迎えるのは良かったと思うし、今回に関しては視聴者に考えさせてくれる余裕があった。前編の心の声がまた出てきたらどうしようかと思った。
あれこれ言ったけどちゃんと完結出来た。
この桐山くんと川本家、そして後藤さん周りに集中した分、
島田さんとか二海堂の出番とか出して欲しかったな。
二海堂は病気周りの話をしてくれると思ったんだけどちょっと出てきて点滴うってるだけなんだよな...。
3月のライオンは桐山くんと川本家を中心とした作品ながら、
他の棋士に大きく焦点を当ててそれぞれの生き様を魅せてくれる作品。
映画となればそれを省くのは仕方ないし、
桐山くん周りと川本家を中心にした話はうまくまとめたし、
幸田家の親子の問題どころか、引きこもりの歩とのエピソードを加えて最後に持ってきてくれたあたり置いてけぼりにもなっていないのは良かった。
個人的に残念なのは結局香子さんはヒロインじゃなかったんですね。
あと破壊力抜群だったひなちゃんのボブヘアーがなかったのも残念。
満足度:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)
前後編での満足度です。