f:id:KamikiYuki:20170409160510j:plain


カミキユキ(@KamikiYuki)です。 
新年度1週目お疲れ様でした。
新社会人に加わって忙しさが増す4月ですが鑑賞ラッシュは続く
良作ラッシュで続けば良いのですが。


関連記事      
















 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



クラブの後輩である“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、「なるべく彼女の目に留まる」略してナカメ作戦を実行する。春の先斗町に夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくのに外堀を埋めるばかりで進展させられない。さらに彼は、仲間たちによる珍事件に巻き込まれ……。

- シネマトゥデイ -



森見登美彦原作の人気作品をアニメ映画化。
京都に住む学生、黒髪の乙女と彼女に恋をする先輩を中心に巡る物語。
同じ世界観の四畳半神話大系はTVアニメ化されました。
なお、公開記念で四畳半神話大系も振り返り放送されておりました。
こちらは「私」がバラ色のキャンパスライフを謳歌する為に何度も大学入学からどうしもない人生を過ごすことを繰り返す可能性のお話。毎回違うサークルに所属するものの、必ず妖怪と呼ばれる小津と仲良くなり、人としてどうしようもない存在になる。明石さんという後輩と知り合い、時には樋口という天狗に弟子入りし、城ヶ崎のサークルに所属し、最終的に四畳半主義者となるSF要素が強い作品です。
久しぶりに観たら最終話ってこんな泣ける話だったんだな、ていうか多分歳のせい。


原作は前々から購入していましたが、
結局なかなか読めずに鑑賞当日にギリギリまで読んでいました。
最終章の途中までしか読めなかった。
(観賞後すぐに読み終えました。)


原作は先輩と黒髪の乙女、それぞれのパートが交互に進むスタイルとなっている。


 


監督は湯浅政明
マインドゲームピンポン THE ANIMATIONを監督
森見登美彦原作の四畳半神話大系も監督し、今回同原作で同じ世界観の夜は短し歩けよ乙女を監督。
またクレヨンしんちゃんの劇場版にも1作目から関わっている。


先輩役は星野源
俳優としても歌手としても大活躍。
昨年逃げは恥だが役に立つ新垣結衣の相手役として注目を浴びた。
元々歌手として活躍していたのが主題歌恋と共に恋ダンスがブレイク
個人的にはアキハバラ@DEEPタイコ役から観てるけど味のある俳優さんですね。


黒髪の乙女役に花澤香菜
人気女性声優、青の祓魔師の杜山しえみや、PHYCO-PASSの常森朱、言の葉の庭の雪野百香など様々な人気アニメのヒロインを演じている。
待機作にGODZILLA -怪獣惑星-でユウコ・タニ役やBLAME!シボ役が控えてる。


学園祭事務局長役に神谷宏史
同じく人気男性声優、物語シリーズ阿良々木暦夏目友人帳夏目貴志デュラララ!!の折原臨也、機動戦士ガンダムOOのティエリア・アーデなど様々なキャラクターを演じている。


パンツ総番長役に秋山竜次(以下ロバート秋山)
お笑いトリオのロバートのメンバー。
声優としては劇場版ポケットモンスターで枠役で登場。


他、樋口役に中井和哉、羽貫さん役に甲斐田裕子、古本市の神山役に吉野裕行李白役に麦人、東堂さん役に山路和弘など


 


と、なんとなく安心出来る声優さん方ばかりです。
また、EDには四畳半〜に引き続きASIAN KUNG-FU GENERATIONが担当。


ということで感想にいってみましょう


 


 


 


 


四畳半に寄せた長い夜の物語


本作は原作を踏襲しながら
一夜にしてあらゆる出来事を総括して黒髪の乙女の冒険を描く内容となっている。乙女の猪突猛進にも近い好奇心で様々な巡り会いに関わって行き最初から最後までこの世界の主役を担い続ける。
本来の主人公である先輩はそこになんとか食い込もうとしながらも臆病がたたり、彼女の周りを回り続ける、正に外堀を埋めることに徹してしまいなかなか距離を詰められないでいる。
言ってしまえば世界の主人公は黒髪の乙女ながら、彼女とのゴールを目的にして終わろうとする物語から言えば裏の主人公は先輩である。


先輩役の星野源の声は結構クセがあって周りの声優の声とは違うものだなって思っちゃうんですが、先輩独特のオドオドしさというか色々考えてしまうキャラクターが出ていたと思います。


黒髪の乙女役の花澤香菜は最近声を当てる役の幅が広がっているのもあるのか慎ましさを心がけながらもたまにタガが外れて思いがけない行動を起こす乙女の様々なキャラクター性を見せてくれた。


樋口師匠四畳半〜藤原啓治から中井和哉への変更だがのらりくらりしたキャラクター性は変わらず、羽貫さんは変わらず甲斐田裕子
しかしなんだ、四畳半〜ではキレイだけど面倒くさい羽貫さんが今回は全体的に可愛らしいキャラクターになっている。


正直後半の学園祭エピソードは前振りは短くしたのに
あのシーン長くない?
と思わせる感じだったが、良い部分もあるので黙っておこう。
序盤は原作の内容を省略して学園祭事務局長パンツ総番長が既に登場し、先輩の友人役となっていたり、古本市では先輩は最初から乙女の目的の本を探している。
省略だなと思いきや、学園祭エピソードからかなり内容を変えながらも全体の流れはそのままに描いている。それはすごいんだけどさ。


そして本作は四畳半神話大系を観ていれば更に楽しめる内容。
もちろん観なくても問題はない。
同じ世界観なので樋口師匠羽貫さんはそもそも登場していたし、原作でもジョニーだとか四畳半地獄だとか四畳半〜を観ている人には何かと連想してしまう単語が登場する。
しかし更に四畳半のエッセンスが盛り込まれており、学園祭事務局の拠点があの秘密結社の拠点だったり、乙女の目的の本が自然とモチグマンと思わせる感じがある。何より映像の一部に「私」や明石さんが登場する(それだけ)


あと湯浅監督の次回作夜明け告げるルーのうたの登場人物たちが紛れ込んでいる。


先輩の作戦はなんだかんだ言って成功している


本作を教訓にしたいのは先輩は決してダメダメではなかった。
確かに外堀を埋めるばかりか、彼女に直接的アプローチは皆無。
あちらから接触があったら玄関の扉を締めてしまうほどの臆病加減。
それでも外堀を埋める、周りの人間に関わることで間接的にアプローチが出来ている。好機は逃さなかった、というべきだろう。
ナカメ作戦も一連の目に留まる行動から突然の最終章ともなれば意図せずギャップまで与えられた。基本神のみぞ知る御都合主義の賜物ではある。


ある種良い恋愛の教科書であっただろう。
ちまたで話題の耳をすませば天沢聖司には勝てないかもしれんが。


あらためて声優ってすげーなと思った作品


まず先にあげていなかったパンツ総番長の声をあてたロバート秋山
個人的に劇団出身や芸人が声を当てると外れないという持論があるので心配はしていないが、まさか演劇シーンがあそこまで生きるとは思わなかった。
演劇シーンを映像化する時点でどうなるか見物だったけど。


そして本当にすごいと思ったのは神谷宏史
学園祭事務局長の声を当てた彼は既に声優の中ではベテランの域で人気も高い。
だけどこれが声優の力なのかと改めて驚かされた。
まず学園祭のクライマックスで局長自身があんなポジションに落ち着こうとは。
原作でも一言で片付けられてしまった女装アイドルの歌唱
それを結果的に加工なしでやってしまうとは思わなかった。
だって気付かなかったもんなぁ...声優恐るべし。
元々加工する予定だったのがそのままOKにしちゃったんだとか。


まさにアイドル的人気だけじゃない大人気声優といったところか。


 


 


 


以上、終盤の改変には少し異議を唱えたいところだが
全体的な流れに変わりはなく、この世界には起こりえない不思議な現象がなんだかんだあるのがこの四畳半〜や本作の見どころである。主に竜巻で鯉が吹っ飛ぶとか、帰ってくるとか、本が空を舞って色んな本棚に仕舞われるとかとか。
恋愛の話ではあるが、人との繋がりをテーマにも据えた作品だった。
そういう意味では物語のキーになっていた李白など独り身の寂しさや先輩も同様に何かと寂しさを出していた。人恋しさや縁というものが大きなファクターだったのだろう。
そしてぼくが神谷宏史を語るとは思わなかった。


 


 


満足度:★☆☆(7/10)