スピルバーグのこういう作品を観たかったんです。
満を時して登場
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2045年、人類は思い浮かんだ夢が実現するVRワールド「オアシス」で生活していた。ある日、オアシスの創設者の遺言が発表される。その内容は、オアシスの三つの謎を解いた者に全財産の56兆円とこの世界を与えるというものだった。これを受けて、全世界を巻き込む争奪戦が起こり……。
- シネマトゥデイ -
アーネスト・クラインのゲーム・ウォーズ。
不可能と思われた映像化を実現したVRゲームを舞台とした作品です。
監督は我らがスティーブン・スピルバーグ。
昨今では自身が監督していたジュラシック・パークの新シリーズジュラシックワールドの総指揮、ペンタゴン・ペーパーズの監督を務めています。
まず用語からいきましょう。
オアシス
作品の舞台となるVRソーシャルゲーム。
ハリデーが開発しゲームから第二の社会とまで言われるまで成長する。
デバイスはゴーグルとグローブ、ブーツが基本で体感スーツで五感に対応する。
最近流行ったVRゲームが舞台のソードアートオンラインの脳をフルダイブさせる未来的なものではなく、現代のVR技術の少し延長といったところでしょうか。
とはいえ、VR世界はかなり自由度の高いものになっています。
この時代なら仮想通貨...普通に流行ってるんじゃ...。
イースターエッグ
開発者ハリデーが亡くなったあとオアシス内に隠されたもの。
3つの鍵を得ることでオアシスとハリデーの財産を与えるという。
こうしてエッグ探しが始まり、エッグ探しをする者をガンターと呼んだ。
以下キャストです。
本名/アバター名
という表記になってます。
部分的にネタバレなのでサラッと読んだ方がいいかな。
ウェイド・オーウェン・ワッツ/パーシヴァルをタイ・シェリダン
トレーラーコンテナを積み上げた集合住宅に住む少年。
ハリデーギークでイースターエッグ探しに奔走する。
オアシスでは改造したデロリアンを愛車にしている。
サマンサ・イヴリン・クック/アルテミスをオリヴィア・クック
シクサーズ殺しと言われる女性のガンター
AKIRAの金田のバイクが愛車。
ジェームズ・ドノヴァン・ハリデー/アノラックをマーク・ライランス
VRソーシャルゲームオアシスの開発者。
80年代のカルチャーの中で育ちゲームプログラマーから世界的企業を立ち上げギークの間では憧れの対象となった。
劇中では既に他界しており、彼のアバターであるアノラックがイースターエッグの試練の窓口として動いている。
ヘレン・ハリス/エイチをリナ・ウェイス
OASIA内のウェイドの親友。
ガタイのいい男性のアバターで様々なアイテムを製作・改造・修理を請け負っている。
彼の工房には製作中のアイアンジャイアントが置かれている。
トシロウ/ダイトウを森崎ウィン
侍の姿をしたアバターのウェイドの友人。
ショウ/ショウをフィリップ・ツァオ
忍者の姿をしたアバターのウェイドの友人。
ノーラン・ソレントをベン・メンデルソーン
IOIの社長。
会社独自のガンターシクサーズでオアシスを手に入れようとしている。
そのためなら手段を選ばない。
アイロックをJ・T・ミラー
ソレントに雇われたガンター。
ボロボロの外套と体がドクロを模した禍々しい姿をしている。
映像化不可能と言われたのは
予告編にも登場するデロリアンやガンダム他様々な版権キャラクターのクロスオーバー。様々な作品から使用権を獲得するのは難しいことです。お金で解決できればいいけど、そこに賭けるとお金なくなっちゃうもんね。
とはいえ、実際実現したわけです。
スピルバーグ監督作品多いから彼が監督すれば...なんて思ってたら彼自身自分の作品のものを原作にあっても使うことは避けたみたいです。ちなみにデロリアンはアーネストたっての希望で登場したとか。
映画化は不可能だと思った──原作小説の著者、アーネスト・クラインが語る『レディ・プレイヤー1』|WIRED.jp
日本のキャラクターもたくさん登場しているとあっては期待するし、単純にこの手の映画ファンはデロリアンは出るしアイアンジャイアントは出るし...で十分興奮していることでしょう。僕自身バック・トゥ・ザ・フューチャーは映画としてバイブルですしね。
というわけで感想です、どんっ!
映像として落とし込んだまさに映画版レディプレイヤー1
最近映画レビューの指標の一つに2時間でうまく収めているが定まって来た気がします。この作品もそうです。正確には映画サイズに落とし込んでいる、ですね。
世界観を映像で見せてくれていますね。
現実のディストピアと仮想のユートピアの対比とか、ウェイドや他の人物が仮想世界に逃避していること。創設者ハリデーを信奉するギークたち、いわゆるオタクが似たような境遇をハリデーを通して追体験し自分たちに落とし込むことを中心にまとめられた作品になってます。それ以外のおそらく原作読んでるなら分かって、そうじゃない人が分からない要素は出てくるけど惜しみなく省いている。
またオアシスをプレイしている現実世界の当人たちのツッコミたいほどの大げさは描写は分かりやすいほどにわざとやってるなぁ、と見て思いました。仮想世界のアバターが走るのは現実の自分も走っているから。だからウェイドは全方向に走るルームランナーの上でプレイしている。けど中には街中でプレイしている人は現実世界などお構いなしに走り回っている。冷静な人からすれば「危ないからゲームやめろよ!」と言うんだろうけど、これすごく意図的だ。
この意図的なのがある種収拾つけているとも言えるけど
ツッコミどころと言えばツッコミどころだろう...冷静になると
そしてサウンドはプリンスのI Wanna Be Your Lover、ダリル・ホール&ジョン・オーツのYou Mak My Dreams Come Trueなどアーティストや楽曲が分からなくてもまぁ聞き覚えのある楽曲が並びますね。
ガンダムでいく!
そんな中でこの作品の特徴である
様々な作品のクロスオーバーを成し遂げてた。
冒頭からマインクラフト*1やDOOM*2、ハローキティ*3やバットマン*4などの世界観を見せつけてくれるし、序盤のレースも先のデロリアンや金田のバイク、細かく見ていけば様々なマシンが登場する。
予告編にも登場するガンダム*5やオーバーウォッチ*6のトレーサーの他、自分は確認漏れたがダンガンロンパ*7の江ノ島盾子まで登場しているらしい(エノジュンはちゃんと確認してない)
これ、ハーレイ・クインを江ノ島だと勘違いしたっぽいとのことですが、ちゃんと観た上で江ノ島だと認識した人がいたら教えてくださいw
確かにシルエットは似てるしねぇ。 https://t.co/eg7XQjLMEw
— 寺澤善徳 (@terazo2000) 2018年4月25日
プロデューサーは聞いてないから確定か分からんらしい。
ぼくももう一度確認したい。
あげくに伊福部サウンドが流れてアイツが出てくるとか
完全に前情報なしで観て良かった出来でした。
あと様々な企業Twitterアカウントの中の人を呼んで試写会をやったらしい
試写の日、多くの中の人がTwitterで盛り上がっていましたが
多分当日とは別の時のツイート
だからそのラジカセを自分の目で確かめる義務がある。真ん中で両手に掲げられるコレを。 pic.twitter.com/Ksmojk29sY
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2018年4月12日
これ重要なシーンで使われていて
気づけば小さく見えるので注意ですね。
ぼくも気づいた時にはこの画角だった。
ちなみに見出しはここだけ日本語のセリフで言うんです。
そしてこれは僕たちの世界の延長であり今である。
VR技術的には近未来であり、この先待っている技術と思えるものだ。
それゆえに技術もありえる未来ならば、現実世界もありえる未来と投げかけているように思える。
冒頭で諦めてしまった世界と言っている。
そこから仮想世界に自由を手に入れたとも。
現実を諦め、仮想に求めるという状況は色々な意味を含んでいると解釈するが詳しくは機会があれば記事にしよう。
とにかく実際の未来に諦めてしまう可能性もある。
ゆえに仮想世界がここまで発展したのかもしれない。
そこには本編の締めくくりに一つの答えが提示されている。
またこの仮想世界は今のネット社会に通じるものがある。本名も年齢も性別すらも匿名で偽ることの出来る世界で同じ立場の者と交流し、踏み込もうとしてリアルを明かすことだってあるだろう。この世界は現実を諦めているのでネットが普及するまでのアングラな世界の方が通ずる気がする。まさに著作権もお構いなしなグレーな時代だ。
アバターに対するリスクとリターンも大体現実のルールをそのまま移したような世界だ、命の終わりはなくともアバターに投資したものはアバターの死によって全てを失う(はず)その結果資産を失い債務で徴収労働を課される。
自分には身に覚えのないことでも
今この世界に通ずるものを感じるだろう。
これは間違いのない現実の延長である今なのだ。
認めてもらう物語であり逃げ場に意味を得る物語でもある
ぼくが印象的だったのは劇中終盤
オアシスなど仮想世界でしか顔を合わせてなかったウェイドとソレントが直に邂逅するシーンである。邪魔者であるウェイドをソレントが直に手を下そうとやってくる重要なところ。
そこで彼はある状態のウェイドを見て表情が変わる。
あれほど憎き敵として見ていたぼくもソレントへの憎しみを忘れるものでした。
彼は手段を選ばなかったが結果的にあの人物に認めて貰いたかったのではないかと思うのですね。でもあれ見ちゃったら自分じゃなくても...ウェイドでも良かった、あの瞬間見ちゃったらもういいや、と思ったんじゃないか
ウェイドだって友情だったり恋愛だったり敬愛だったり
それらに認めてもらうことだったのではないか。
逃げた先の仮想世界にもそういう意味があるのだと答えを得たような...そんな物語だったように思えます。それが現実への自分の礎となる。
とりとめのない内容で申し訳ないですけど
とにかくソレントについては語りたくって
なんとなく勧善懲悪な話で終わらず、思うところあったなと思わせてくれる作品だったかと思います。
満足度:★★★★★★★★☆☆(8/10)
原作は更なる映像化を期待して続編書いてるそうです。
このあとオアシスがどうなるかも気になりますね。
*1:世界的に人気のサンドボックスゲーム。ランダムに生成された世界でサバイバル生活をしたり自由にブロックを配置して家を建てたり戦闘やクラフトが楽しめる。
*2:FPS(ファーストパーソンシューティングゲーム)の代表作品。実際にある武器や架空の武器を駆使してゾンビ化した軍人の他インプやバロンなど悪魔たちを倒していく
*3:ネコをモチーフに擬人化したサンリオの看板キャラクター。
*4:DCコミックの代表的なヒーロー。昼の顔は資産家、夜の顔はゴッサムシティの犯罪を阻止するヒーロー。特別な能力はなく、鍛え上げた肉体とバットモービルなどマシンやガジェットを駆使して戦う。
*5:日本のロボットアニメの金字塔。2018年4月現在VRゲームをモチーフとしたガンダム作品ガンダムビルドダイバーズが放送中
*6:blizzardのゲーム作品。日本ではスクウェアエニックスがローカライズ化。アクションシューティングゲームとしてe-sportsの代表格となっている。
*7:スパイクチュンソフトのハイスピード推理アクションゲーム。独特な世界観で超高校級の才能を持つ少年少女たちが脱出不可能なコロシアイと犯人探しである学級裁判のデスゲームを強いられる