カミキユキ(@KamikiYuki)です。
本当はオリジナルのレビュー途中まで書いてたんですけど
やっぱり間に合わなかったので先にこちらをば
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近未来。少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、かつて凄惨(せいさん)な事故に遭い、脳以外は全て義体となって、死のふちからよみがえった。その存在は際立っており、サイバーテロ阻止に欠かせない最強の戦士となる。少佐が指揮するエリート捜査組織公安9課は、サイバーテロ集団に果敢に立ち向かう。
- シネマトゥデイ -
士郎正宗原作、押井守監督のGHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊
ハリウッド実写化!
特に前々からぼくは観ていたわけではないので
これを機にオリジナルも他のシリーズも観ていこうというスタンスです。
この時点でオリジナルの2.0版は鑑賞済みです。
正直オリジナルのアニメ映画でも政治的、未来技術の内容で頭がついていかず大変でしたが、電脳化義体化によって蔓延るサイバー犯罪を取り締まる公安9課。ハッカー技術戦闘技術共に優秀な草薙素子少佐を中心とした物語となっています。
彼女は脳以外全て義体化した希少な人物です。
電脳化された人をハックして操る通称人形遣いを追うのが物語の趣旨です。
そこには人と機械の境界が曖昧になっており、何を持って人間なのか、何を持って機械なのかを問う作品になっています。
というのを踏まえてハリウッド実写版を鑑賞します。
監督はルパート・サンダース。
CM界から映画監督デビューし監督作はスノーホワイトから2作目。
スノーホワイトは戦う白雪姫という大胆な設定でした。
少佐(スカーレット・ヨハンソン)
世界初の全身義体化に成功した人物。
テロによって両親を失い、自身も脳だけが生き残った。
公安9課に所属し、サイバー犯罪の取り締まりを行っている。
バトー(ピルー・アスベック)
公安9課に所属、少佐の相棒
荒巻(ビートたけし)
大統領(劇中で総理って言ってた気がする)直属の公安9課の課長
トグサ(チン・ハン)
公安9課所属。義体化に敬遠的。
オウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)
ハンク社の技術者。
少佐の体を作り、全身義体化を成功させた人物
日本人全然いないじゃんと思ったら、
サイトー役に泉原豊というオーストラリアで活躍する日本人俳優がいました。
日本語吹替にはオリジナル版のキャスト陣がメインで担当。
少佐には田中敦子、バトーには大塚明夫、トグサに山寺宏一が担当する。
では感想にいってみましょう。
アニメ映画版を再現した全く新しい物語が誕生したっ!?
いやー素晴らしかった!
冒頭から少佐の体が作られていくシーン、骨格が出来て肉付けられて皮膚が塗られて最後にコーティングされていた薄膜がはがれていく...。
あそこはほぼ再現されていましたね。
実際は薄膜どころか卵の殻みたいにピキッて割れていく感じでしたけど
で、これネタバレになっちゃうんでしょうか。
この映画、ストーリーは全くの別物です。
...そう、お話全然違うんです。
草薙素子がミラ・キリアンの時点で違うんですよ
パンフレットでは少佐としか書いてないな...。
まぁ他のキャラクターは合ってるんですけど。
ストーリーの流れ的には変わりありません。
謎の殺人ハッカーを追って行く導入です。
公安9課のメンバーも主要なところはいます、
名前だけしか印象にない人もいるにはいますが...。
完全にバトーは相棒感だし、トグサは日本人がやってるんじゃないんだな...印象が義体化嫌いくらいの印象しかないんですけど...。
荒巻役のビートたけしだけ日本語で話します。英語字幕が横に表示されるところを見ると未来技術によって翻訳されて聞こえるんだと思っていますが...問題は聞き取りづらいので日本語字幕つけてもらっていいですか?
内容自体はオリジナルより設定を分かりやすく説明されている。
少佐は元々義体化された経緯もあってか殺人ハッカーを追って行く過程で脳しか持たない自分と周りとの違いやアイデンティティに苦悩しながら全身義体である自身が生まれた秘密に触れて行きます。
映像は素晴らしい。
実写に3DCGを限りなく貼付けた世界ですね。
アバターとか昨年の押井守作品ガルム・ウォーズを連想します。
身体論と未来の再定義
スカヨハの歩き方がおかしい。
これにはすぐに気がつきました。
こんな演技下手だったっけ...これは全身義体である違和感を表現してるなとすぐ気がつきました。あと銃を構えて移動しているシーンとかたまに違和感を感じるんですね。脳が機械の体を拒絶しているというか生身と機械の違いなんだ。
あと義体で初めて呼吸する時の演技は良かったですね。
気になったのは主要メンバーの出番少なくない?
トグサとかほぼ出番なかったよ?バトーは結構出てたけど。
と気になったんですけどでも街並はよく出てくるんですよね。
これは未来を再定義して見せてるんじゃないかな、と。
アニメ映画オリジナル版がそうだったんですけど、時間が流れる表現として会話がなく登場人物たちが何かしてるなーっていう映像ありますよね?
それが結構あって少佐が街を移動しているシーンなんですよね、船に乗って街の色んな場所をみたりLEDっぽい信号機だったり...あれって1995年当時にイメージした未来ですよね。原作はもっと前なのでその頃のイメージがあるでしょうけど。
そうやって現在の技術から未来はこうなるを定義してドキュメンタリーじゃないけどそんな感じで見せてたんですね。
同様に本作も未来はこうなる!を定義して見せたんじゃないかな。
2017年において2070年はこうなるを再定義した(元の設定は2030年)
うるさいくらいのホログラムが並ぶ街並や、道路の誘導標識もホログラムで立体的に表示している。人も肝臓を義体化してアルコール分解をコントロール出来るようにする人がいればバトーみたいに目を義体化する者もいる。
建物で気になったのはアジア人ばかり住んでそうなマンションが登場します。
ここで下から空へ見上げるようにマンションを望むシーンがあります。
これ、軍艦島の高層アパートを思わせました。
こっちの映像の方が断然高いんですけど、あのコの字のでっかいアパートを連想させるシーンでしたね。
本当はもっと下から見上げるような画を見たことあるけど
出てこなかったので参考程度に。
映像はやっぱりすごいので別物として楽しもうか
アサシンクリードはゲームの再現は良かったみたいですけど
どうも感情移入出来ない過去の追体験が邪魔をしていた。
ゲーム本編を思わせるシーンはあったようですね。
本作においては前日にオリジナルを観たぼくからしたら
多くのシーンにオリジナルの再現が施されていると感じました。
もちろん2030年と2070年の差で2Dの絵で全身義体を表現するのに少佐はまばたきをしなかったり読み取れない表情と反面、スカヨハ演じる少佐は結構感情が出ていますね。まぁキャラ違くない?とも思えたけど。
彼女のアクションは申し分ないし、義体で高速移動するかのような動きを見せた映像表現もらしさは出していた。ワイヤーのスローの表現より瞬間移動のが良かった。
- 再現は思い出す限りは以下の通り
- 少佐の体が作られる最初のシーン
- 少佐が高地から飛び込むシーン(2回)
- 少佐が自室で目覚めて外に出るまで
- ゴミ収集車関係、浅瀬の戦闘、業者の取り調べ
- 少佐が海に沈んで漂うシーン
- 戦車との戦闘
もっとあった気がします。
とまぁそんな感じでオリジナルへのリスペクトは感じられた作品。
再現された中でもそこは画角それじゃない感とか...あるけど
海外ではアジア人系を白人が演じることへの風評被害でこけた、とか話題になってスカーレット・ヨハンソン自身も「もう違う人種の役やらない」と言わしめてるとかそうじゃないとか。
なんですが、本当の原作ファンからしたらストーリーじゃないかなぁ。押井守版はサイバー犯罪怖いよでなければ電脳化義体化怖いねでもない。人や機械を超える可能性を見た作品だと思ってるので本作の少佐の結論とは違う気もする。
ちなみに彼女のアクションシーンはぼくが観た中ではこちらが秀逸
(え、元々はボディダブルでやってたんですか、そうですか)
正直なところゴーストとはなんぞ?
みたいな話が流れて来ると思ったんですよ。
オリジナル版は政治的要素や世界観設定のマシンガントークで掴みきれないと思うんですよね。話が難解なんです。
そう思えばこちらではまだまだ簡略的も説明されている。
逆にオリジナル版観ずに観たらまだストーリーは楽しめるんじゃないかな?
ファンは再現を楽しむ作品
そういうことで。
しかし押井版の実写化とあって音楽は川井憲次かと思いきや
ED曲だけでしたね。しかもあの曲なんですね。
昔の川井サウンドに昨今の重い感じの曲調を織り交ぜたそんな感じでした。
まぁこの世界観じゃイメージとちがうよね。
満足度:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)