f:id:KamikiYuki:20180220130217j:plain


毎週スキー行く日々とモンハン(諸悪の元凶)で
更なる作業の遅れですが映画は着実に観てます。


関連記事 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 




大都会を舞台に立て続けに変死事件が起こり、その現場には決まっていつも黒のスーツを着た男の姿があった。その男は宇相吹正(松坂桃李)で、“電話ボックスの男”とSNSで話題になっており、とある電話ボックスに殺人の依頼を貼るだけで必ず遂行されるとささやかれていた。実際に標的は100パーセントの確率で、事故や自殺や病気によって命を落としており……。


- シネマトゥデイ -



グランドジャンプで連載されている漫画を実写化。
リアル路線のストーリーラインなのであまり心配してなかった。
主人公がダークヒーロー...まぁデスノートとかと同じくらいの感覚。
原作は未読ですが気になったので観てきました。


監督は白石晃士
主にホラー作品を手がけており、呪怨 THE MOVIE 黒呪霊をはじめ、ノロイ、最近では貞子vs伽倻子の監督をつとめている。
本作もこのテイストの加えた作品となるのだろうか...。


主演は宇相吹正松田桃季
電話ボックスの男の都市伝説で噂される男。
電話の下に殺人依頼を貼っておくと嘘かホントか100%叶えられ対象は病死、事故死、自殺など必ず遂行される。


多田友子沢尻エリカ
変死事件を追う過程で宇相吹正と相対することになる刑事。
勝気で自らのルールを定めて行動する芯の強い女性。
原作では多田友樹という男性。


百瀬麻雄新田真剣祐
多田の後輩刑事。多田からは新人と呼ばれ名前を呼んでもらえない。
学生時代は心理学を専攻していた。


川端タケル間宮祥太郎
かつて多田に更生された元少年犯。
現在は寿司屋で板前修行をしている。


うーん紹介するとキリがないのでこのあたりで。
というわけで感想です。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


思い込みとエグみの恐怖を体感するスリラー


率直にいうと全体的に普通だなーと思う印象と
松田桃季のヒールっぷりがいい感じで楽しませてもらったという感じです。
思えばどんな役でもいけるよな、この人。
表情だけで朗らかな青年や、眉ひとつ変えない落ち着きのある青年、得体のしれなさや不敵な笑みやら板につく。
今回は下卑た笑みが特徴的で赤く変容する瞳もあって得体のしれなさが漂ってました。
個人的に湯を沸かすほどの熱い愛のバックパッカーがいいですね。人間の二面性が出ていて松田桃季が2度おいしいといいますか。



 


この作品は松田桃季が演じる宇相吹正
実証不可能な手口をいいことに
能力と言葉巧みに語りかけて依頼された人物を殺していく。

沢尻エリカ演じる多田友子が刑事としてそれを追って行く。
彼女は稀に存在する能力の影響を受けない人で、
立証出来ない犯行に対して対抗出来る人物として対立します。
そんな話です。


一番に見せたいところはそこではなく、
その依頼人と対象の人物や周りの人間模様。


もう一つテーマとなっているのが思い込み
先入観という捉え方もありますね。


この二つの要素で
所詮他人ともいえる人と人の営みには脆いところがあるよ、
と警鐘している作品です。


例えば兄弟で兄は優秀、弟は何をやってもダメ
そんな弟は兄を見て
「兄は自分のことをクズだと思ってる、兄弟とも思いたくないに違いない」
なんて客観的に見たらどう見たって被害妄想でしかない。
そんな思い込みを利用して相手や自分を殺すように仕向けて行く。


なんていうか想像を掻き立てる意味で
エグいですね。
まじリストカットとか苦手なんやって。
エグみを感じる部分はホント気持ち悪い。


なんだか勿体無い作品


映画の構成、演出、題材的にも面白く出来た作品だと思いますが
それと同じくらいに勿体無い作品だなーと。
場面転換が
「これは現実なのか、何かの想像上の類なのか」
観ている者に疑わせるような画作りがされており、
おそらくホラー作品であるような、恐ろしいシーンの前にある人の恐怖を増幅していくような想像を映像で見せるあれにソックリだなーと思いつつ。


気になるのは依頼者のエピソードと被害に合う人物の背景が弱い
あっさり話が進む。
あり得ないことでも人によってはありえるのかなが夫婦とご近所さんの事例で、最初の金貸しの件はそもそも純粋な殺意だったのかと思える。
分かるのは離婚でそれぞれに引き取られた姉妹くらいですかね。
これは動機になりえる話をしっかり描いていたので最初は、


「え、これで相手を殺したいほど恨むのか?」


と思ったけど


「なるほど、依頼するほどの話な気がするし、落とし所に納得」


といった具合です。
このエピソードだけは先入観で行動すると取り返しのつかないことになるなーと思ったりした。ここまで出来すぎた話もなかなかないですけど。


また松田桃季の演技がよかった分、ハマってない人が多い。
役者さんたちはベテランの人が多かっただけに下手と言わずに上手くハマってないなーという評価しておきたい。
松田桃季はいいです。
キャラクターにハマってるというかハマる。


松田桃季といえば残念だったのは宇相吹の背景が見えない
マインドコントロールという能力っぽい描写で言葉で誘導していくのがパターンなんですが、その能力に関する話は一切なく、ただこの能力が効かない人間が稀にいるという説明をして多田を指すくらいなんですね。
この問題は後述する内容から説明なくても問題ないかな、とも思えますが、どうしても宇相吹と多田の対立構造が念頭にあると物足りない感が否めない。
能力に対する対抗策が一切議論されないのでは多田サイドは宇相吹の言うがままの解決方法を実行せざる追えない状況になります。


開始5分と言わず既に騙されていた。


全体的に普通に思えたのは
宇相吹と多田の対立を描くような先入観を植えつけられていたんじゃないかと思うんです、ぼくは。
これ、完全ヒールな笑ゥせえるすまんだよね。
依頼という商品を扱って依頼人の意思が条件に添えないなら
本人にも災厄が降りかかる。
そんな狂言回しの笑ゥせえるすまん宇相吹
宇相吹と多田の対立は別の視点として用意されているだけ。
まぁ多田の解答がある種答えというなら締めくくられていますが...。
だからこそ先に宇相吹の能力の問題を指摘したんですけど、狂言回しとして使うならそのこまで気にしなくていいかなと思ったわけです。


と思うとTVドラマとかでやった方が良かったんじゃないかな。
そうすれば毎話依頼者が登場して本当に狂言回しのように振舞えて構成的にもわかりやすい作品になっていると思います。事前にドラマ版は用意されていますが、狙いとしては興味があったら公開までにこっち見ててね、みたいな戦略だと思うのでなんともはや。因みにぼくは見てないです。
まぁ相当マイルドなものになりそうですが。


まぁ松田桃季ファンなら観に来て問題ないよ。


満足度:★☆(4/10)